当社は、すでに丸20年間アメリカ市場に、日本製品を販売してきました。その経験の中から皆様にお役にたてるような情報をお話します。皆様は、何らかの契機で海外市場に関心があるのだと思いますが、海外市場進出のメリットは、三つあります。
ミレニアム世代(ミレニアル世代)、言葉の定義としては 1980年代~2000年代に生まれ、デジタル機器とソーシャルネットワークを自在に操る人々のことを指します。デジタルネイティブと呼ばれるほど、インターネットサービスやデジタルデバイスへの好奇心は高く、そこに精神的な壁を感じません。新しいサービスや情報、トレンドは手の中にあり、自在にそれらを使いこなすことができるという自信すらあります。そんなミレニアム世代は、今までのマーケティング理論に必ずしも沿わない、新たな、そして多様な価値観を持った、つかみどころのないターゲット層といわれています。
日本では少子高齢化が長く叫ばれており、そこまでこのミレニアム世代がマーケットの重要な役割を担う存在ではないかもしれません。しかしここアメリカでは、このミレニアム世代こそがマーケットの主役とされ、現在急この層への効果的なリーチを目指したアメリカの小売業界の動きが加速しています。その人口は米国だけで8,000万人、年間の消費総額は約6,000億ドルに上ります。今日では20代、30代の若年層の多くは職業を持ち、子育てをし、持ち家に住んでいます。現在でも巨大な消費者層を構成しているが、2020年までにはその購買力はさらに顕著になり、米国内での消費額は年間1.4兆ドルに達し小売売上高の30~40%を占めると試算されています。
最近、アメリカの小売業界においても、既存店舗を閉じ、業務形態を変えたミレニアム世代をターゲットにした変化がよく見受けられます。数年前にブームを巻き起こしたアバクロことアバークロンビー&フィッチのNY5番街の店舗は、今までの真っ暗でセクシー感満載(モデルの起用や香水、大音量の音楽)の店舗作りをやめました。従来に比べ明るく入りやすい店内には、親近感のわくスタッフと、ブランド色を潜めた商品が並び、多くの観光客でにぎわっています。(業績不振からか、休日でもスタッフの人数が極端に少なく、サービスの質も非常に落ちていましたが。。。)
ではミレニアム世代が求めるものはなんなのか。実のところ、まだ誰もその実態を明確に掴みきれていないのが現状です。なぜなら、インターネットによって、多種多様な価値観や情報、選択肢が氾濫しているからでしょう。むしろ一つの価値観や答えを持たない、ということが答えなのかもしれません。
ただし、一つだけはっきりといえることは、彼らが支持するのは強い主張と信念を掲げ、それをとことんつらぬくブランドであるということ。マーケットトレンドにあったブランドのコアを掲げ、それをブランディング戦略に徹底して浸透させること。それは単に商品やPackageといったことではなく、Web Site、SNS、動画、そして人事やCSR、経営といった会社やブランドを構成する要素の隅から隅まで徹底することが非常に重要です。そしてそれをインターネットツールを駆使し、効果的に世界へ発信していく。
アメリカで成功するブランドになるには①徹底したマーケティング調査 ②妥協なきブランディング戦略の二点が非常に重要な要素になってきます。この二点をなくして効果的な販売はありえないのです。私たちは日本の製造業にとってミレニアム世代に向けてのトレンドは非常にポジティブな動きだと受け止めています。なぜなら、トレンドのコアとなっているのはヘルシー、エコ、安全・安心、といった日本企業が築いてきた技術や伝統、文化を生かすことができる方向性だからです。
日本製品の持つ技術や品質の高さ、Made in Japanへの信頼度は世界でも誇るところがあるのは、こちらに暮らしていてより強く感じるところです。最も重要な問題は、それをアメリカの人々の感性に触れる形で、しっかりとブランディングに基いたプレゼンテーションで発信していくことです。