最重要展示会:シカゴIHHS展

 
 
 


1. 展示会概況

 シカゴで毎年3月に行われるIHHS展(International Home+Housewares Show) は、アメリカで最大の日用品、ホーム製品の展示会である。50カ国から約2,300社が出展し、120カ国から23,000人のバイヤーを集める。キッチン製品が会場の中で最も広い面積をとっており、他のアイテムはバス製品、クリーニング製品、収納製品、電化製品、健康関連製品、デザイン日用品など日用品は全てカバーしている。

2. バイヤー

 この展示会に訪れるバイヤーは、アメリカの大手小売企業バイヤー、専門店バイヤー、オンラインストアバイヤー、ディスカウント系小売店バイヤー、アメリカのディストリビューター、世界各国のディストリビューターなどである。特に、アメリカの大手小売企業バイヤーが多いのが特徴的である。

3. 出展者

 出展者2,300社のうち、アメリカ企業は1,500社で、海外から800社が出展している。アメリカの主要な大手メーカーは全て出展しているのではないだろうか。展示会の前面、中央部には10小間、20小間を使ってアメリカの大手メーカーが所狭しと巨大なブースを構えている。アメリカ市場のマーケットの地図を見ているかのようだ。しかし、大きなブースはバイヤーで賑わっているとは決して言えない。中小のブースであっても、マーケットのトレンドを牽引している先進的なブランドのブースは多くのバイヤーで混みあっている。年に一度の展示会のせいか、会場全体に活気と、緊張感があふれている。

4. 日本パビリオン

 JETROが主催している日本パビリオンには、30社程度の日本企業が出展しており、常にバイヤーで賑わっている。ブースはいずれも明るく、きれいに装飾されており、バイヤーに「何か目新しいものがありそうだ」というムードを感じさせている。かなり、活発な商談が行われており、大きな注文も入っているそうだ。良いロケーション、きれいなブース、アメリカンを使った販売体制、几帳面でまじめな対応などJETROの組織化は上手に行われており、バイヤーには好感を持たれている。リピーターがかなりいるということだ。

5. 日本企業の出展者

 10年くらい前から、日本企業はコンスタントに出展を継続しており、今ではJETRO日本パビリオン参加企業以外でも数十社が出展しており、日本製品はアメリカ市場に浸透してきている。中には、4小間、6小間を確保して、大勢のバイヤーで賑わっているところもある。かつて、「アメリカのバイヤーは価格でしか仕入れない」ということがウソのようだ。近年、ミレニアム世代の台頭により消費構造が大きく変化しているからだろう。今後、ますます日本製品が注目され、大手小売店の中に進出していくだろう。

6.  当社の取り組み

 ミラデザイン社では、契約している日本企業7社がIHHSにブースを構え出展した。南ホール(キッチン製品)3社、北ホール(ホーム製品)3社、レイクサイドホール(水関係製品)1社である。大手小売企業バイヤーとの商談を目標にこの展示会に出展した。4日間を通して、合計530の商談が行われ、そのうち大手小売企業は24社であった。Wal-Mart, Bed Bath & Beyond, Home Depot, Office Depot, Target, Staples, Crate & Barrel, Williams Sonoma, Container Store などのアメリカを代表する大手小売企業との内容のある商談が実現した。むろん、その場で注文成立ということにはならないが、展示会の後、本部でのプレゼンテーション、商談という流れになる。展示会後は、そのアポイントを確定して次々に商談を進めている。シカゴIHHS展は当社にとって、最重要展示会という位置づけである。

7. 大手小売企業との取り組み

 先に述べたとおり、シカゴ展は大手小売バイヤーと出会う最重要展示会である。当社は、、アメリカ市場で商品を販売する「究極的目標」はこれらの「大手小売企業との取引」であると考えている。圧倒的な店舗数(1000店-5000店)、圧倒的な知名度、集客力、マーケット牽引力を持つからである。

 確かに、大手小売企業との取引は、専門店との取引と比較して、そう簡単ではない。特に流通関係になると、5㎝の厚さの「シッピング・ガイド」を読みこなさなければならないし、電子取引のためのEDIシステムにも精通していなければ伝票一枚処理できない。当社も最初は大いに当惑したものだが、18年の経験の中で培ったノウハウがあるので、今ではどの大手企業でもこなすことができる。

8. アメリカから世界市場へ

 このIHHS展には、多くのバイヤーが世界各地からやってくる。アンビエンテ展と共通しており、世界のバイヤーの中でも、シカゴまで来るのはかなりハイエンド、レベルの高い小売企業である。アメリカで完成された商品戦略、ブランディングは、世界のマーケットでも充分に通用する。シカゴIHHS 展とフランクフルト・アンビエンテ展を一体に考えて、世界中の有力な小売店を販売対象にしていくことが日本企業のグローバルビジネスには望ましい。